阪神間にモダニズム文化が花開いた頃、ここには実業家、岩本栄之助氏の私邸がありました。岩本氏は大阪中之島中央公会堂を寄付したことで知られています。大正7年に竣工した中央公会堂は、今でも時代と人びとが交錯する文化の拠点であり続けています。
一方、岩本邸の向かいの土地、現在のさくら夙川キャンパス本館の建つところには、西宮の実業家、福井治兵衛氏の私邸がありました。艸公（そうこう）という俳号を持つ彼は、文化への造詣が深く、俳人や画家、作家など、多くの文化人との交流を通して、西宮芸術講演会や美術展覧会などを開催し、地域の文化振興に情熱を注いでいました。

大手前アートセンターは1992年(平成4年)の設立以来、文化発信の拠点として展覧会や学術講演会、ミニコンサート、そして在学生たちの作品発表の場として、先人たちの精神を次世代に伝え、文化創造の担い手が集う場としての役割を担っています。

大手前大学・大手前短期大学図書館にはメディアライブラリーCELL（さくら夙川キャンパス。愛称CELL）と大阪図書館（大阪大手前キャンパス）があります。両館とも学生たちが立ち寄りやすい場所に位置し、黒を基調とした現代的デザインと高い機能性は本学の誇りとなっています。蔵書はそれぞれのキャンパスでの学びに合わせて構成されており、CELLには歴史、芸術、文学、建築、心理学、社会学など主に人文科学分野を、大阪図書館には栄養学や食品学、看護学分野の図書や雑誌を配置しています。さまざまなサービスも充実しているので、主体的で多様な学びを深めるため、日々多くの学生が訪れる“キャンパスの人気スポット”です。