従来、博士課程修了者は、高等教育機関・研究所等における教員あるいは研究者として活躍することが主流でした。しかし、近年の経済社会の変革と進展のスピードは著しく、企業等の組織運営にあってもテクノロジーの急速な進歩や社会変革に対応する能力が問われています。そこで要求されるのは経験と勘ではなく、高度の論理的思考能力と分析力です。従って、組織運営を深く洞察する能力を有する人材が必要になると考えられており、社会科学 、とくに商学に深く精通した理論的基盤のある高度専門家の育成が重要と考えられます。
商学研究科では、「研究者」の概念をこれまでのように高等教育機関等の教員、研究者に限定せず、組織運営上の開発・分析能力を備えた人材をも研究者と捉え、その活動のスタートとなる課程博士の学位取得を教育目的として位置づけます。入学段階から一人ひとりの院生に「博士論文指導委員会」を設けての複数指導体制をとり、博士学位取得までを一貫して指導する責任を明確にした教育研究制度をとっています。3年の課程内での博士学位取得、遅くとも後期課程進学後5年以内の博士学位取得を目指しています。
目的
経営、会計、マーケティング、ファイナンス、ビジネス情報、国際ビジネスの6分野において、スクールモットーである“Mastery for Service”(奉仕のための練達)を具現化するために「組織運営に関して高い分析力と深い洞察力を有する研究者や専門職業人」を輩出します。
3つの方針
商学研究科は、経営、会計、マーケティング、ファイナンス、ビジネス情報、国際ビジネスの6分野において、スクールモットーである“Mastery for Service”(奉仕のための練達)を具現化するために「組織運営に関して高い分析力と深い洞察力を有する研究者や専門職業人」を輩出することを教育上の目的としています。
そのため5年一貫の「研究職コース」と2年間の「専門学識コース」において、高度の専門性と豊かな人間性を備え、理論的基盤のある人間の育成を目指します。したがって、この趣旨を理解し、向上心を持ち、さまざまな適性を有す、多様で幅広い学生たちを受け入れることを基本としています。
両コースともに前期課程1年の段階で、経営、会計、マーケティング、ファイナンス、ビジネス情報、国際ビジネスの6分野から指導教授の所属する分野を「主分野」として選択します。そして、前期課程において、大学院教員による少人数での講義科目と、主分野の指導教授による演習指導を通じて、研究職コースにあっては博士学位論文作成に至る中間成果として、専門学識コースにあっては2年間の研究活動の集大成として修士論文の作成に取り組みます。
後期課程においては前期課程に引き続き博士学位論文の完成を目指し、指導教授を中心とした博士論文指導委員会の指導を受けながら、3年の課程内での博士学位取得、遅くとも後期課程進学後5年以内の博士学位取得に取り組みます。
前期課程では、研究職コース学生に対しては、博士論文執筆のための研究能力の基盤を養うことに主眼を置き、博士論文の部分的・中間的作品として修士論文を位置づけています。そのため、主分野に特化するのではなく、主分野以外に必要と考えられる分野についての履修を促して、商学に関する幅広い基盤を得させることを目的とするため、学位として修士(商学)を授与します。その上で、後期課程において独創的な理論研究を行って博士論文を提出することによって、博士(商学)の学位を授与します。
これに対して専門学識コースにおいては、前期課程において専門性を高めるため、主分野に特化して、理論的な思考力・分析力を2年間で完結的に養うことに主眼を置き、その集大成として修士論文を位置づけています。したがって、学位は特化した主分野を明記し、修士(経営学)、修士(会計学)、修士(マーケティング)、修士(ファイナンス)、修士(ビジネス情報)、修士(国際ビジネス)を授与します。